海外のスイスに長く住み、日本の子供達へ向けた留学のお手伝いをしていて、思ったことを書き留めておきます。
日本は、ヨ―ロっパから見ると、極東、世界の端にある島国です。日本の歴史の一端として、江戸時代300年の鎖国を経て、戦後、先進国と言われる国となりました。
一方、スイスは、欧州のど真ん中にあり、EUには加盟していません。とはいえ、欧州諸国との関係は日常茶飯事にあるので、あらゆる面でEUからの圧力は頻繁にあります。つまり、歴史から見ても、欧州の他国との議論と交渉が絶え間なく行われて来ました。
その点、日本と比較すると、地理的、歴史的から見ても、日本程、外国とのやり取りの経験値が低い先進国もないということになります。
昨今の目覚ましいインターネットの広がりで、世界は、狭くなり、日本の小さな村で起きたニュースでさえ、即、地球の裏側にその国の言語で届いています。
日本の子供達に必要だと日頃思うのは、”日本という素晴らしい国”を誇りに思い、”逞しく生きていく力”を養うことだと思います。
一つ目の”日本という素晴らしい国を誇りに思うこと”とは、日本人が、これまで意外と自国のことを卑下して来た所があるので、日本という素晴らしさを世界にもっとアピールして、もう少し自分と国のアイデンティティを明確にしていく、ということがグローバル世界では必要じゃないかと思うのです。
二つ目の”たくましく生きて行く力”は、天変地異の多い日本で、どんな事に遭遇しても、「大丈夫だ!よーし、頑張るぞ!」と前を向いていくたくましさです。それは、大人になれば、自力で生活をしていける力、自分で稼げることが出来ることにも通じます。
他力本願というか、政治や世間の風潮も他人任せになってしまっている印象の今日の日本で、自分達が日本をより良くして行くんだという気概が芽生えることが重要ですが、特に日本の政治システムにおいて、しくみ自体が変わらないと、変革は難しいのでしょうか?
子供時代の留学体験を通して、小さな成功体験を積み重ねていくことで、日本の誇らしさも逞しさも身についてくるのではないでしょうか。
留学のはじめの頃は、頼りなかった子供でも、2年、3年と経過するにつれて、親が一時帰国した子供をみて、「逞しくなった。」と感じるのです。
また、物事の本質に目を向けるには、みんなと同じことをしていては、新しい発想というのは生まれません。
明治期に多くの日本人が欧州へ留学し、新しい制度等を持ち込みました。近年、欧州の方が進んでいる事ばかりでは勿論ありません。
異なる言語文化に触れて仲間と体験することで、開眼される効果が期待できるのが、留学です。
留学時代の気づきが、その後の人生や生活に大いに役立つのです。
スイスジャパンサポート
近藤 美穂