スイスの幼児教育について

スイスは、九州程の小さな国ですが、シュタイナー教育やモンテッソーリ教育を引き継ぐ学校があちこちにあります。

シュタイナー教育は、20世紀の初め、オーストリア人のルドルフ・シュタイナーが提唱しました。

ヴィキペディアによると、シュタイナー教育とは、”教育という営みは、子供が「自由な自己決定」を行うことができる「人間」となるための「出産補助」であるという意味で、「一つの芸術」であると考えられている。”とあります。

又、モンテッソーリ教育は、イタリア人の精神科の医師であったモンテッソーリが、1907年に貧困層の健常児向け保育施設を開設し、独特な教育法が1929年世界中に広まったものです。詳しくは、公益財団法人の日本モンテッソーリ教育綜合研究所に掲載してあります。

https://sainou.or.jp/montessori/about-montessori/

一方で、スイスには、ペスタロッチという有名な教育実践家がいます。18世紀に活躍したペスタロッチは、最初、孤児や貧困の子供に教育を従事し、幼児教育に影響を与えた人です。

フレーベルが幼児教育では有名ですが、その基礎を築いたのがペスタロッチだと言われています。

私は、一体ボーディングスクールでは、子供の自発性を引き出すには、どうしているか?と考えた時に、これらの幼児学校の教育方針との共通項が根底に見られるのです。

つまり、人間は、上から命令して押し付けたらやらないので、子供が自分の興味あることを自発的に行うには、まずは良い環境を作ることが重要だと考えられていることです。

ヨーロッパで始まったこういった教育について考えると、やはり、西欧の人間中心主義が基本にあり、人間の普遍的な性質をよく捉えています。

スイスは、地形的に森が点在しているので、幼稚園で、皆が一緒に森へ行って、ハイキングをしながらお弁当を食べたり、森で遊んだり、戻って来て、木や木の実を使って工作をしたりすることも日常的に幼児教育のプログラムにあります。

あとは、小学校に入ってからもありますが、森の動植物の観察をします。つまり、自然をとても大切にして、環境問題を教育でも取り上げています。

また、スイスの幼児期にコミュニケーション上、子供の発音が良くない場合にはすぐに矯正をさせます。それは、ロゴペーディ(ドイツ語:Logopädie)と言って、言語聴覚療法です。

ロゴペディンと呼ばれる専門家がチェックし、発音が悪ければ、そこに通わせて、小さいうちに発音矯正をさせるのです。これは、日本の公立幼児教育ではやらないので、日本でも取り入れるべきだと思います。

というのも、日本のTV番組やラジオで、教授や社長クラスの人でも、時々、変な発音をしている人がいたりするからです。

結論を言うと、自分の子供をスイスで育てた観点からも、日本との幼児教育の違いは、やはり、人間基本的人権を擁護した、人間中心の西欧的個人主義的教育で、自然環境をうまく取り入れているという点です。それは、自主性・独立性を尊重しています。

以前、娘が通っていた、スイスの小学校に日本から先生方が視察に来て、感心して帰られたことがありました。

ただ、私が一人の父兄として彼らに申し上げたのは、「スイスと日本では社会的な土壌が異なるので、このやり方をそのまま日本へ持って行っても合わないのではないでしょうか。なぜなら、日本は、基本的に集団主義で、西欧的個人主義社会ではないからです。」でした。

スイスジャパンサポート

近藤

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