今回は、スイスの公立学校の教育システムについて、ご紹介します。
スイスの教育制度は、州によって少し違いはありますが、意外と知られていないのは、スイスの小学校5年生で、すでに大学進学コースへ進むかどうか、という道が分かれ始めることです。
これは、日本の公立学校教育と比べると、小学校高学年の5,6年生のクラスで、成績によって、クラス分けがされてしまうというのは、意外とシビアです!
小学校のクラスで、上位3割位の成績に入っていないと、大学進学クラスへ入ることは出来ません。しかしながら、日本と違う点は、たくさんの教育ママがいて、いい高校へ、そして、いい大学へ入ろうと、皆がみんな躍起には、あまり思わないことです(人それぞれという感じです)。
中学に入ると、今度は、3つのコースに分類されます。いわゆる、大工の様な仕事に就く、職人見習いコース(レーレ)と、商業コース(プラクティコム)、そして、進学(ギムナジウム)コースの3つです。
大学へ行きたい人は、勿論この進学コースのクラスに行かないといけません。 大半の子供達は、真ん中の商業コースと言って、学校で商業訓練をしながら、会社で週に何回か働くという道を選びます。
大学へ入学出来る人自体が少なく、在学中に半分に減ってしまう為、卒業出来る人となると、かなり少ないのが、スイスの特徴です。スイスの大学生は、日本と違って、アルバイトに明け暮れるのではなく、アルバイトも出来ない程、必死に勉強していないと、ついて行けないというのをよく聞きます。
多くの学生が普通科へ進学するという日本とは異なり、スイスでは、企業で必要な職業訓練、もしくは師弟制度で技術を磨き、実践的に即戦力を身につけていく人が多いです。
大学を出なくても、それなりの給料が支払われますし、職業大学があり、そこでは大学卒業と同等なディプロマが得られる学校もあります。
別の言い方をすれば、大企業や外資系企業も多いスイスでは、若いうちに行えるインターンシップ(またはレーレ)制度が発達しており、実践と学校での理論学習というデュアル制が行われています。
数年前に、米国副大統領の奥さんが、そのスイスの企業や職業訓練のデュアルシステムを視察しに来て、米国でも導入したいという意向を示し、話題となりました。つまり、米国のオバマ政権が導入を検討しているというニュースでした。
それを比べてみると、日本の大学の勉強では、一部の産学連携や理系のプロジェクトを除くと、未だに理論ばかりに走り実社会であまり役立たない勉強が多い様に私は感じます。大学の研究が社会とリンクしていけば行くほど、開かれた学びの場になると考えます。
スイスは、周囲が大国に囲まれ、ヨーロッパの中心に位置し、昨今の人口増加で、即戦力が求められる環境にあること等から、この国の利点は、早くから、自分の進むべき道を自覚することにあると感じています。
スイスジャパンサポ―ト
近藤