「日本人は外国人に親切で優しい。」と感じるのは、海外生活が長いせい⁉
日本から戻って来て感じたことは、(日本人の私から見て)「日本人は外国人に親切で優しい。」ということです。その背景には、日本の外国人に対する歴史が関わっています。
外国人が今ほど日本へ押し寄せる時代というのもありませんでしたが、歴史的に日本に住んでいた外国人というのは、大概、新しい技術をもたらしたエンジニアとか、シーボルトのような医者といった層の人達で、日本へ発展をもたらすイメージがありました。
日本を出て、スイスに住んでみると、スイス政府の統計では4人に一人が外国人という、恐ろしいほど外国人だらけの国がスイスで、日本とは対照的です(統計に出ていない数字もあるので、実際には、もっと多いです)。例えば、国際結婚している外国人はこれに含まれておらず、地域によっても、例えば、国際機関の多いジュネーブでは、約半分が外国人人口です。更に、多国籍企業が多いスイスでは、人口の流動性が激しく、EXPATや留学生も沢山います。勿論、難民も至るところにいて、EU域内の移動の自由が始まって以来、居住する外国人の割合も激増しています。
つまり、外国人が珍しくもない環境では、その国に一歩踏み入れたら、その国の言語を話すのは当然、という無言の了解があるので、「誰も、外国人や外国人観光客を特別扱いして、”おもてなし”をしようとは考えていない。」のです。まあ、5つ星クラスの観光客に対しては別ですが。
観光客なのか、住んでいる外国人なのか見分けがつかない程、外人だらけ、ということが一番の理由です。
日本のTV番組で、日本に興味ある外国人を選んで、日本の陶芸とか、日本的な技を学ぶ目的で、日本へ招待し、その道の職人に数日間弟子入りするというのを見ました。無料で手取り足取り教えてくれて、お土産までもらって帰るのですが、最後に、お互い涙ぐんで終わるという、ドラマチックに仕立てたものです。これを見ていると、その技の程度問題にもよりますが、そんな簡単に職人の技を見せてしまっていいの?と思ってしまいます。
日本は極東の孤島なので、歴史の中で、外国人との攻めぎ合いになったことがありません。戦争ではなくて、今までとことん付き合った経験がない、世界でも珍しい国です(外資系で働く一握りの人達にとっては、外国人の考え方の傾向とかは日常茶飯事ではありますが)。
日本人にしてみれば、外国から来てくれたことそれだけで、わざわざ遠くから来てくれてありがとう、という感じですが、趣味の分野ならまだしも、それを商売にしている様な場合には、外国人というだけで、ちょっと、気前が良過ぎるのでは⁉、脇が甘い!と感じたりしてしまいます。
ヨーロッパ諸国攻防の歴史をみると、国や地域が支配される度に、その支配言語も広がって行きます。言語はそれだけ、国が支配する権力に直結したものです。
日本人からすれば、外国人は、所詮日本語を話せない、と思って期待していない分、外国人から見ると、日本人は英語が話せない、というのをよく聞きます。そこで、一番理想的なのは、日本人は英語は理解出来るが、自国の文化を大事にしているのだから、あまりしゃべりたくない。住んでいる外国人は、郷に従えで、日本語を学習すべきだ、というスタンスを取ることだと思います。
実際、スイスの場合、つい最近から、1年滞在する外国人でさえも、現地語の語学学習が必須になりました。
これから外国人が増えて行けば、今後、日本人と外国人の共存社会という新しい局面が出て来ると思います。それによって、日本もある程度は、多様性社会になってくるとは思いますが、これを機会に、日本の社会も、甘えの構造をある程度脱却して、もう少し自立的な大人の社会に成長していくべき~なんて思ってしまいます。